小鳥のきりり A-1 「帰ってくるまで待っててね」

2010年の2月、習っていたヨガの関係で

インドに行くことになりました。

まだ体調も不安定だったことも気になっていたけれど、

一番の気がかりは小鳥のきりちゃんのことでした。

一般的にセキセイインコの寿命は7〜8年と言われているなか、

きりちゃんは15、6歳。

でも、高齢とはいっても、若い時と見た目もほとんど変わらず、

羽の力が衰えてきて、飛び回ることをしなくなった以外はいたって元気な子でした。

それでも年齢のことを考えて、亡くなる3年ほど前からは、

冬は出かける時や夜間には、カゴの下に湯たんぽを入れて、

寒くないようにこまめに温度管理をしたり、気をつけていました。

私が留守の間に、寿命が来るかもしれないな。

歳も歳だし、それはそれでしょうがない。

だけどもし私のいない時に、きりちゃんが亡くなったら、

夫が責任を感じるだろうなとそれが気がかりでした。

だから、インドに行くことが決まってから、

毎日きりちゃんに話しかけていました。

私が帰ってくるまで、待っててね。元気でいてね。

今こうして思い出して書いていると、

当時、お別れの時に私がそばにいなかったら、

きりちゃんがかわいそうとか、私が悲しいとかは
一切思いもしなかったのが自分で不思議です。