その旅の最中にも、私はきりちゃんに関するちょっと不思議な体験を何度かすることになりました。
初めにびっくりしたのは飛行機の中。
ふと、前の座席を見ると、背もたれのカバーの上に、きりちゃんがこっちを向いてちょこんといるではありませんか?!
え!え!どういうこと?
目をこすったりしてみても、やっぱりいる。というか、見える?
「私、幻覚が見えてるのかな?」と少し自分の感覚を不安に思いましたが、すぐに「まぁ、いいや」って開き直りました。
そして、人差し指をきりりの足元に差し出して、小さな声で、「おいで」というと、私の指に以前のように乗ってきました。
小鳥の重みで、指が少し下に下がりました。
一緒におしゃべりしたり、羽繕いを手伝ってあげたり、感覚がとてもリアルだったので、幻覚?という思いも、途中で忘れてしまっていました。
幸い、隣の座席の人はイヤホンをして眠っていたので、ひとしきり小鳥と一緒に遊んだ後、また、前の背もたれにそっと返しました。
視線を外して、もう一度見ると、もうきりりの姿はなくなっていました。
なんだか、夢を見ているようでした。
この後も、飛行機に乗っている間、きりちゃんは時々姿を現しては消えました。