小鳥のきりりA5      「広い世界・はじめて出会う私自身」


インドの旅は一ヶ月。

前半は、ヨガの聖地であるリシケシという町での滞在でした。

首都のデリーから車で9時間、ヨガとヒンズー教のお寺がたくさんあって、お坊さんがいっぱいいるベジタリアンのその町は、空気が透き通っているような感じで、汚いイメージしかなかったガンジス川も、ここでは青く澄んで見えました。

初めて一人で歩く外国の町。

言葉も通じない、文字も読めない、日本と全然違う文化に戸惑うことはたくさんありました。

だけど、来る前に感じていた不安は一切なく、ただただ、とほうもない開放感を味わいながら、毎朝、起きた時から、1日の始まりにワクワクし、気の向くまま小さな冒険をたくさんしました。

日本では感じたことのなかった私、それは、初めて出会う私でした。

これが私?

なんなの、こののびのびした、途方もなく自由な感じは?

原色の色鮮やかな衣装をまとってすれ違う目の大きな人たち。

ここでは誰一人、私のことを知らない。

私はただの私だ。

そんな感じが驚くほど新鮮で、果てしない気がしました。

出発前に、きりりがくれたメッセージ。

「広い世界に出て行きなさい」

その言葉がふと、よぎりました。

病気で何年も動けなくて、自分にはできることが何もない、自信もなく、いつの間にか見えない殻に閉じこめられて身動きが取れなくなっていた私が、今、日本から遠く離れた知らない場所にいて、イキイキと自分を生きている。

行きたいだけ広がる世界で、ただ生きていることを楽しんでいる。

とても不思議な感覚でした。