洗面所を出る前に、台をすみずみまでタオルで拭き、その時は確かに何もなかったのに、ほんの3分ほどの間に忽然と現れたハガキ。
意味がわからず、狐につままれたような気持ちでしたが、なぜか悪い感じはしませんでした。
結婚してすぐに住んでいた家の近所にあった、そのお酒屋さんのハガキを見ていると、若い頃、よく夫とビールや、調味料を買いだしに行ったのを思い出し、ほのぼのとした気持ちになりました。
ふと、夫に電話をしよう!と思いました。
いつも朝ごはんを食べに行くお店の片隅に、貸してもらえる電話があるのを見つけていたので、そこに行きました。
片言の英語で、使い方の説明を受け、数回トライして、なんとか家につながりました。
現地の事情がわからず、携帯もないので、旅先からは連絡できないかもしれないと言っていたので、電話に出た夫はとてもうれしそうでした。
経由地のタイで3日滞在したので、日本を出て1週間目。
久しぶりの夫の声を聞くと、なぜか長年の同志のように感じました。
「電話代、高いから、すぐ切るね!」と前置きして、こちらの様子とさっきのハガキの出来事を話しました。
夫は、「そうかー、〇〇屋さんからのハガキかー。懐かしいな。でも不思議やな、さすがインドやな」と言いました。
飛行機の中で、きりちゃんの姿が見えた話もしました。
「僕、毎日きりちゃんに、ミーちゃんのこと守ったってやってお願いしてたんや。もしかしたら、そばにおってくれてるんかもな。」
「そうやったん。うん、そうなのかもしれないね。」
「とにかく、元気で。楽しんで。」
「うん、そっちもね。」
短い会話でしたが、なんだかいろんなことが、私の理解を超えてつながっているような、さらに安心な気持ちが満ちていくような、そんなことを感じました。
ハガキはいつも持ち歩くポーチに入れ、旅の間のお守りになりました。