小鳥のきりりB2    「名前はきりり」

小鳥のいる生活が始まりました。

名前、何にしよう?

ふと、テーブルを見ると、その当時よく売っていた「きりり」というオレンジジュースのボトルがありました。

きりり。きりり。

なんか可愛くない?

よし、「きりり」に決定〜!

簡単に名前が決まってしまいました。

食卓テーブルの上の、窓に近い場所に小さな浅い藤の籠を置き、そこがきりりの居場所になりました。

夜は、細かく割いた新聞紙がたくさん入ったプラケースの中が寝床です。3月初め、夜はまだ冷えるので、ほんのり温かい熱帯魚の水槽の上にケースを置きました。

可愛くて、嬉しくて、最初の数日は夜中に何度も起きだして、ケースの中を覗き込みました。

できるだけ外に出かける用事も減らして、小鳥と過ごしました。

鳥が嫌いだったはずの夫も、そんなこと言ってたっけ?というような顔で、私以上にきりりを可愛がりました。

エサの粟玉をお湯で温めてあげるのも楽しみで、「僕がやるよ」「いや、私の方が温度とかわかっているし」「みーちゃん、昼間やってるんやから替わってよ!」と、スプーンの取り合いになりました。

子供がいない我が家で、小鳥はその小さな体に二人分の人間の愛情を一身に受けていたようです。

ペットショップの店長さんの心配をよそに、小鳥はすくすく育ってくれました。

「ほらね、私は子供の時から小鳥の雛を育ててたんだから、大丈夫なんだから」といい気になっていたところで、事件が起こりました。